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完結済.

給料日のあしながおじさん

松山 さくら

全5話[35,450文字] 純文学〔文芸〕
作品梗概
 本作品は、阪神淡路大震災をテーマにした物語である。主人公の桃子は、十数年遅れで大学生になった。入学したのは、神戸にある国立大学、早くに両親を事故で亡くし、大阪の祖母の家で育った桃子は、学校の先生になると言う長年の夢を諦め切れずに、教育学部に入学するとともに、憧れだった神戸の街で一人暮らしを始めた。
 異変は、アルバイトの給料が通帳に振り込まれているのを確認したときに始まった。『ドイサチエ』と言う人物から、十万円が振り込まれていたのだ。もちろん、その人物には心当たりはなく、そのことを友人の綾乃に相談すると、『あしながおじさん』からの贈り物ではないかと言われた。腑に落ちない桃子。その振り込みはその後も続いた。
 縁あって、神戸に住むことになった桃子は、休みの日になると神戸の街を散策した。そこで見聞きしたのは震災のこと。桃子は、神戸の街が、震災の深い悲しみとともにあることに気づいていく。
 桃子がアルバイトをしていたのは、小さなスーパーだった。そこの店長が、少し変わっていた。毎晩のように夕飯を作ってくれた。気づかないうちに自転車の修理もしてくれていた。それらのおかげで、桃子は不自由なく学生生活を送ることができたのだが、そのスーパーが夏休みに入ると同時に突然閉まってしまう。店長からは、妻が入院することになったからと聞いたが、夏休みが明けてからも閉まったままでいることに、桃子は不安を募らせていく。
 心配事は重なるもので、小学校の頃から文通していた相手からの返事が来なくなった。相手は『未来希美』と名乗る人物、手紙を書くだけの間柄だったので、電話番号を交換していなかった。相手の近況がわからないまま、桃子は不甲斐ない日々を過ごすことになった。
 そんなある日、桃子は客だった高齢の女性と出会う。店長と顔見知りだと言うその女性は、桃子に店長の過去を打ち明けた。それは、震災で桃子と呼ぶ赤ちゃんを亡くしたことだった。とっさに店長の苗字を思い出した桃子は、ある疑念に行き当たる。店長が自分に親切にしてくれていたのは、震災で亡くした娘と自分とを、重ね合わせていたからではないかということを。何故なら、桃子の苗字も『土井』だったのだら。
『あしながおじさん』の正体を知った桃子は、つらい出来事を乗り越えて未来へと歩もうとする店長に思いを馳せた。
(35503字 原稿用紙換算100枚)

震災 神戸 地震 大学生 教育 復興 関西
全5話[35,450文字]
各話平均7,090文字
[推定読了1時間11分]
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最新作投稿:2026年07月05日(13:19:23)
 投稿開始:2026年07月05日(13:17:53)

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