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完結済

成婚率100%の仲人は、愛を信じない

きなこもち

全33話[165,148文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕 R15 残酷な描写有り
神楽坂の路地裏にある小さな結婚相談所、春灯結婚相談所。
社員は社長兼仲人の御厨御幸と、二人の女性アシスタントだけ。
規模は小さいが、紹介でのみ依頼を受けるその相談所には、「どんな条件の依頼人でも必ず成婚させる」という噂がある。

ある日、春灯を訪れたのは、三十五歳の会社員・朝倉絵美。
仕事は順調、生活も堅実、容姿も条件も悪くない。
婚活市場では決して不利ではないはずなのに、なぜか誰とも関係が続かない。
お見合いは成立する。
だが仮交際に進むたび、「緊張する」「隙がない」「何を考えているか分からない」と言われて終わってしまう。

初回面談で御厨は見抜く。
絵美は結婚に向いている。
だがその誠実さも、すべて“正しく見られるため”に働いてしまっているのだと。
彼女が本当に求めているのは、条件のいい相手ではない。
安心して帰れる家。
疲れた日に黙っていても壊れない時間。
頑張り続けなくていい関係。
けれどその願いは、婚活の場に立つと「年収」「学歴」「安定」といった条件の言葉にすり替わってしまう。

御厨の右腕である篠原唯花は、絵美の過去の活動履歴を分析し、彼女の失敗が“相性”ではなく“自己防衛の癖”にあると整理していく。
一方、感情の機微に敏い雨宮柚葉は、絵美がふと漏らした本音を拾う。
「私、結婚したいというより、ちゃんと選ばれたかっただけかもしれません」

その一言で、絵美の婚活は大きく組み直される。
条件の優先順位ではなく、選び方そのものを見直す段階へ。

やがて春灯が紹介したのは、離婚歴のある三十八歳の男性、藤崎航太。
条件だけ見れば、絵美がこれまで求めてきた“理想”から少し外れている。
だが彼の前では、不思議と会話が疲れない。
沈黙が失敗にならない。
ちゃんとしていなくても、関係が壊れない気がする。

それでも絵美は迷う。
もっと条件のいい相手がいるのではないか。
ここで決めるのは妥協ではないか。
ちゃんとしてきた自分が、もっと“分かりやすく報われる”道があるのではないか。

その迷いに対して御厨は言う。

「あなたは条件を下げるんじゃありません。勝ち負けの基準で選んできた人生から、生活の基準で選び直すだけです」

これは、恋愛の高揚ではなく、結婚の現実に向き合う物語。

R15 残酷な描写あり シリアス 男主人公 現代 職業もの 群像劇 日常 ホームドラマ 婚活 結婚相談所
全33話[165,148文字]
各話平均5,004文字
[推定読了5時間31分]
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最新作投稿:2026年08月02日(20:00:00)
 投稿開始:2026年07月01日(20:00:00)
 投稿期間:1ヶ月


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