データ取得:2026/06/14未明
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短編
不倫夫と愛人にすべて奪われかけた私が、証拠で二人を地獄へ叩き落とすまで
熾星
全1話[17,535文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕私は、自分が愛に嫁いだのだと思っていた。
けれど、東京家庭裁判所から届いた一通の白い封筒が、その思い込みを粉々に砕いた。
封筒を開けて、私はようやく知った。
夫の佐伯誠は、とっくに不倫相手の白石莉奈と関係を持っていた。
それだけではない。
二人はLINEで私を「何も知らない愚かな女」と笑いながら、夫婦の共有財産を白石莉奈の母親名義の口座へ移していた。
そのうえで、誠は家庭裁判所へ離婚調停を申し立てた。
私に婚姻上の責任を押しつけ、財産分与を一円も渡さずに追い出すつもりだったのだ。
最初の調停が終わった日。
佐伯誠は、白石莉奈の肩を抱いたまま、裁判所の入り口で私を待っていた。
彼は笑って言った。
「高梨澪。頼んでみろよ」
「気が向いたら、二十万円くらいは生活費として恵んでやる」
白石莉奈は彼の腕の中で、春の桜よりも甘ったるく笑っていた。
その瞬間、私は泣かなかった。
怒鳴りもしなかった。
ただ、二人を見つめて笑った。
誠が眉をひそめる。
「何を笑ってる?」
何を笑っているのか。
ホテルの写真を数枚否定されたくらいで、私が諦めると思っている彼を笑っていた。
PayPayとネット銀行を経由させれば、金の流れは誰にも追えないと思っている二人を笑っていた。
そして、彼らが知らないことを笑っていた。
女は、崖っぷちまで追い詰められたら、もう夫婦の情なんて口にしない。
その後、二度目の調停の日。
佐伯誠は調停委員の前でも、まだ言い張った。
「彼女は嘘をついています。私を陥れようとしているんです」
私は反論しなかった。
ただ、久我弁護士に合図した。
次の瞬間、鑑定済みのLINEトーク履歴が、モニターに映し出された。
部屋中が、息をのんだように静まり返った。
白石莉奈はその場で泣き崩れ、私の袖をつかんだ。
「高梨さん、ごめんなさい。私は騙されていただけなんです。母が入院していて、お金が必要で……」
私は彼女を見下ろして、笑った。
「騙された?」
「『あの馬鹿な女が一円ももらえず家を出ていく日、私は絶対にその顔を見たい』って送ったのも、彼に無理やり打たされたの?」
その日、佐伯誠はようやく理解した。
東京家庭裁判所から届いたあの白い封筒は、私の人生に下された死刑宣告なんかじゃなかった。
不倫夫とその愛人を切り裂くために、私が初めて手にした刃だったのだ。
(各話平均17,535文字)
[推定読了0時間36分]
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最新作投稿:2026年06月10日(17:43:07)投稿開始:2026年06月10日(17:43:07)
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