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短編.

『挨拶もできない木偶』と笑って令嬢を追放したら、翌月、姉の訳した条約一行で国が戦争になった件

相川ことね

全1話[10,685文字] 異世界〔恋愛〕 転生
海運で栄えるレスリア王国の外務を握るヴェスパー侯爵家に、「挨拶もできない木偶」と侮られる令嬢がいた。ノーラ。だが隣国との条約も、往復の親書も、使節の応対も、六年、彼女が一人で訳し、下交渉してきた。社交で世辞が言えないだけで、六か国語と古語を港で独学した腕は、国に二人といない。姉ミレイユが「語学の才媛」として手柄を横取りし、無能の噂を流していただけだ。
 ある夜会。格上の婚約者が言い放つ。「挨拶ひとつまともにできない木偶と、誰が添い遂げるか」。婚約破棄、そして勘当。姉は嗤い、父は目をそらした。
 ノーラは、一言だけ告げて去る。「批准式の訳は、どうか原文と照らして」。誰も聞かなかった。
 流れ着いた国境の港町で、ノーラを拾ったのは、身分を伏せた流れ者の使者・レイフだった。腕も素性も知られぬまま、二人は異国の言葉と港の暮らしで助け合う。彼が惹かれたのは、絡まれた子供を庇って啖呵を切る、その気っ風だった。
 そして、翌月。彼女のいない批准式で、姉は「休戦」を「降伏」と訳した。隣国オルレンの面子は潰れ、条約は破れ、国境で戦端が開こうとしていた。姉が開いた書架は、六か国語のまま一行も読めなかった。言葉は、訳した者の手柄にはならない。ただ、毎日両側を聞いた者にしか、橋は架けられないだけで。

異世界転生 女主人公 西洋 ハッピーエンド 身分差 悪役令嬢 ざまぁ 婚約破棄 追放 溺愛 王子 専門職 スカッと 無能と誤解 痛快 異国
全1話[10,685文字]
各話平均10,685文字
[推定読了0時間22分]
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最新作投稿:2026年07月15日(22:00:00)
 投稿開始:2026年07月15日(22:00:00)

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