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短編.
一度、言われました。みっともないと思いました
紬 律
全1話[13,083文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕
お姉様の婚約者と結婚いたします。
そう申し上げたとき、お姉様は怒りませんでした。
その翌朝、お姉様はわたしの部屋に来て、三つのことをおっしゃいました。
あの家にお金がないこと。あの方に二歳のお子様がいらっしゃること。あの家の小切手を、もうどこの銀行も受け取らないこと。
わたしは、お姉様が嘘をついていらっしゃるのだと思いました。悔しいのを隠していらっしゃるのだと思いました。
だからお姉様のためを思って、こう申し上げたのです。
「そういうことを言うのは、みっともないと思う」
三つとも、本当でした。
わたしは伯爵家に嫁ぎ、屋敷を失い、爵位を失い、いまは名前を変えて市場の乾物屋で働いております。
お姉様は三度おっしゃいました。わたしに。お義母様に。お父様に。三人へ一度ずつ。
聞かなかったのは三人です。そのうちの一人が、わたしです。
――一年七か月後、量りの向こうに女の人が立っています。
あの方のお子様を産んだ、マルタさんです。
※前作『三度申し上げました。誰も聞きませんでした』の義妹視点です。
前作を読んでいなくてもお読みいただけます。
そう申し上げたとき、お姉様は怒りませんでした。
その翌朝、お姉様はわたしの部屋に来て、三つのことをおっしゃいました。
あの家にお金がないこと。あの方に二歳のお子様がいらっしゃること。あの家の小切手を、もうどこの銀行も受け取らないこと。
わたしは、お姉様が嘘をついていらっしゃるのだと思いました。悔しいのを隠していらっしゃるのだと思いました。
だからお姉様のためを思って、こう申し上げたのです。
「そういうことを言うのは、みっともないと思う」
三つとも、本当でした。
わたしは伯爵家に嫁ぎ、屋敷を失い、爵位を失い、いまは名前を変えて市場の乾物屋で働いております。
お姉様は三度おっしゃいました。わたしに。お義母様に。お父様に。三人へ一度ずつ。
聞かなかったのは三人です。そのうちの一人が、わたしです。
――一年七か月後、量りの向こうに女の人が立っています。
あの方のお子様を産んだ、マルタさんです。
※前作『三度申し上げました。誰も聞きませんでした』の義妹視点です。
前作を読んでいなくてもお読みいただけます。
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全1話[13,083文字]
(各話平均13,083文字)
[推定読了0時間27分]
お気に入り登録:18件
投稿開始:2026年08月27日(20:05:25)
(各話平均13,083文字)
[推定読了0時間27分]
お気に入り登録:18件
評価人数:111人(平均3.8pt)
最新作投稿:2026年08月27日(20:05:25)投稿開始:2026年08月27日(20:05:25)
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