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N9826BN 842pt
完結済

赤色散華 ―金木犀、過去の匂い―

燕乃

全33話[128,463文字] ノンジャンル〔ノンジャンル〕
 鈴が鳴っている。それを忘れる筈なんてなかった。
 忽然と消えてしまった好きだった人。残されたのは『紫の空』という謎だけだった。
 きっと守るからと鈴に約束を懸け、きっと見つけると願う今、けれど、血で染まった少女が笑う。
 それは見たくない光景。瞼を閉じて閉ざしたい瞬間。でも、鈴が鳴り響いている。好きだった彼女に渡し、一緒に消えた鈴が、此処にいるよと、ちりんと鳴り響く。
 守ると約束した筈なのに守れない。見つけると約束したのに、既に果てた美で笑う。
 どうしようもない擦れ違いの物語。赤く染まった華は、そこにあった。
 これは涙で作られた鈴と、血で汚れた夢のお話し。
 どうしても許せない自分と、自分より大切なダレカの物語。
 学園の日々は過ぎて行く。日常は通り過ぎて、くるくる回った。そして、あの人はもういない。
 欠落として抱く果てに、夢は散った。
 残された匂いは過去を思わせる金木犀のもの。けれど、それさえも現実を侵食していく。
 もう居ない。もうないのだと。

悲恋 幻想 神隠し 殺し愛 エリュシオン作品 なろうコン最終選考
全33話[128,463文字]
各話平均3,893文字
[推定読了4時間17分]
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評価人数:58人(平均4.5pt)

最新作投稿:2013年04月18日(19:00:00)
 投稿開始:2013年03月03日(16:15:36)
 投稿期間:1ヶ月


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