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短編

Donor ~命の天秤~

筋肉痛

全1話[3,739文字] ハイファンタジー〔ファンタジー〕 残酷な描写有り
 法月大起(のりずき ひろき)は心臓の病で妻を亡くしてからシングルファザーとして娘の佳織を大切に育ててきた。しかし、佳織が中学1年生の時、妻と同じ病が発病してしまう。
「見つかる確率は極めて低いが、ドナーが見つかれば助かる」
 主治医にそう言われた法月は、必死でドナーを探す。非合法の手段にも手を染めるが適合する心臓がなかなか見つからない。

 悲嘆にくれて放心していたある日、法月に怪しい女占い師が声を掛ける。
「ドナーを見つける方法を知っている」
 藁にも縋る思いで聞いた女の話は眉唾ものだった。
 今自分が生きている世界とは別の世界があり、そこでなら適合者が必ず見つかるというのだ。そして、その世界へ行く方法もあるという。
 娘を独り残していくことができないと法月は躊躇うが、都合が良い事に異世界へ行っている間は現世の時間は経過しないというから、渡りに船だった。

「適合者からはお前にしか見えないオーラが出る。すぐに見つかるとは限らないが、必ずいるから必死で探すといい」

 法月はその言葉を信じ、ドナーを見つけるために転移後の世界をあてもなく旅をする。
 適合者を発見する能力以外は特別な能力を授かったわけではないが、娘を救いたいという執念から魔物が闊歩する異世界で生き延びる術を、時折満身創痍になりながらも確実に身につけていった。
 強い動機を持って過酷な旅を数年も続けているうちに冒険者としての実力が伸び、名を馳せるようにはなっていく。頼もしい仲間も何人かでき、法月は異世界を旅すること自体が少しだけ楽しくなっていたが、肝心のドナーは全然見つからず、娘を救いたいという思いも僅かずつながら徐々に風化していった。

 そして、決定的な出来事が起きる。
 異世界に転移した時に知り合い冒険者としての長年苦楽を共にしたマリーと、法月は結婚をしてしまう。
 迷いに迷った決断だった。娘を裏切ることになるのではと散々思い悩んだが、独りでドナーを探し続ける精神力が法月には最早無かった。これも佳織のためだと言い訳して、マリーを受け入れた。
 マリーとの娘アリシアが生まれ、異世界で家族円満に暮らしていくうちに、佳織への思いが少しずつ思い出になっていくのを法月は見て見ぬふりしていた。

 そして、アリシアの13歳の誕生日。

 彼女の体からオーラが湧き出るのを、法月は目撃してしまう。

残酷な描写あり 異世界転移葛藤企画 究極の選択 家族愛 悪魔
全1話[3,739文字]
各話平均3,739文字
[推定読了0時間8分]
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最新作投稿:2024年10月23日(18:26:14)
 投稿開始:2024年10月23日(18:26:14)


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