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短編

天に咲く華、地に散る徒花

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全1話[1,974文字] ローファンタジー〔ファンタジー〕
かつて世界が「悪魔」と呼ばれる異形の脅威に晒された時代、人々を救った四人の英雄がいた。彼女たちはそれぞれが強大な力を有し、「四大名家」と称えられた。

華宮の当主・牡丹(ぼたん)は、生まれながら『現実改変』という圧倒的な能力を持つ天才的な魔女だったが、精神は不安定だった。その姉であり鳥宮の当主・連鶴(れんかく)は、四家をまとめる中心的人物であり、「触れられざる者」と呼ばれる結界術の大家だった。

風宮の当主・野分(のわき)は、牡丹に絶対的忠誠を誓う暗殺者であり、彼女の影として敵対者を葬り続けていた。また、月宮の当主・鬼灯(ほおずき)は、魔術や武術の才に恵まれなかったが、類稀なる統率力と組織力で被差別者を束ね、強力な勢力を築き上げた。

悪魔と呼ばれる存在が世界を襲った際、四人は協力して世界を守った。しかし、その最終決戦で中心人物だった連鶴が死亡すると、残された三人の心は次第に崩壊を始める。世界を救った英雄であるにもかかわらず、強すぎる力を恐れた人々から迫害を受け、追われる立場となった彼らの間には、徐々に亀裂が生じていった。

特に姉を失った牡丹は深く精神を病み、期待された役割を果たせないまま堕落していった。その姿に苛立ちを覚えた鬼灯はついに牡丹に反旗を翻し、『華月騒動』と呼ばれる華宮と月宮の衝突が勃発する。

鬼灯は牡丹を倒しその命を奪おうとしたが、その寸前に現れた野分に斬られ死亡した。鬼灯が死に、友人である彼女を守れなかった牡丹は、自らの弱さを呪い絶望する。彼女の精神は崩壊の極みに至り、最終的に野分の刃に貫かれ命を落とした。

主君である牡丹を自らの手で殺めた野分もまた、生きる意味を失い、友人に頼んで自害を遂げる。

かつて世界を救った英雄たちは、その強すぎる才と互いへの感情ゆえに破滅し、歴史の闇へと消えたのだった。
後世の人々はこの悲劇を忘れることなく語り継ぎ、
「天に咲き、散った牡丹」と、「地で咲き散った鬼灯」の対比を、『華月騒動』として語り継いだのだった。

全1話[1,974文字]
各話平均1,974文字
[推定読了0時間4分]
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最新作投稿:2025年03月11日(11:54:04)
 投稿開始:2025年03月11日(11:54:04)


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