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短編

紅の簪

賦電 悠灯

全1話[9,667文字] 歴史〔文芸〕
平安時代、 平民だが自由奔放な振る舞いをする破魔 夜業という青年と町一番の名家の一人娘・不知火 御紅という少女がいた。ある満月の夜に夜業は不知火家の塀の上で月を眺めており、そこから誤って敷地内へと転落した。そこに現れたのが御紅であった。彼女は名家の一人娘、そのため父親以外の男を見るのは初めてだった。その満月の夜以来、二人は不知火家に秘密で度々会うようになっていった。そして二年が経ったある日、夜業が御紅に結婚を申し込む。御紅は内心ではすぐにでもそうしたいが平民と貴族という関係性が枷となり断ってしまった。しかし夜業は御紅が本心でしたいと思うのなら明日もいつも通り待っていて欲しい、と言い残して去っていってしまった。翌日、そこに御紅の姿は無かった。夜業が町へ去ろうとした時、御紅が叫ぶように声をかけてきた。そしてその夜、二人は駆け落ちした。追っ手を振り切り町の外の川に辿り着き、そこで御紅は外の世界の美しさを知る。二人はそこが鬼の出る地域だと知らずに進んだ。歩き続ける二人に強烈な雷雨が降り注ぎ始め、雨を凌ぐため一軒の蔵に御紅を押入れた。その蔵に鬼が現れ御紅を襲った。外の夜業は悪寒としてそれを感じ蔵の中へ入る。そこには鮮血の海に倒れ臥す御紅と鬼が佇んでいた。夜業は恐怖で動かぬ身体に鞭打って鬼と対峙する。しかし一瞬にして左腕を千切られ、窮地に立たされる。夜業は今までの記憶を探り、鬼への打開策が御紅の簪ということに気が付いた。それはもともと破魔矢であり、夜業はそれを鬼の心臓に突き立てることで鬼を退治することに成功した。そして左腕だけで御紅を抱えた夜業は蔵を出てすぐに倒れてしまう。夜業が目を覚ましたのは不知火家の屋敷の中であった。そこで御紅が一命を取り留めたことを知り、御紅の父・御影と母・紅亞と対話し、御紅を一生守っていくことを誓う。数日後、夜業と御紅は結婚してその後も一生互いを愛し続けた。

平安時代 破魔矢
全1話[9,667文字]
各話平均9,667文字
[推定読了0時間20分]
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最新作投稿:2015年01月07日(22:00:00)
 投稿開始:2015年01月07日(21:56:11)


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