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完結済

ロスタイム

アタラ。

全6話[16,745文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕
 私の頭の上で大きなくす玉が割れて、紙吹雪と風船が飛び出してきた。
「卒業おめでとう」という文字が目に入る。

 わああ、という声が上がってみんなは制服のブレザーを思いっきり放り投げた。

 卒業生全員分のブレザーが宙に舞う。圧巻と言えば圧巻な光景。
 ゴメン。
 全員分ってのは間違い。私はそういう恒例行事みたいなのは参加してない。
 気が乗らないのだ。

 今日は中学校の卒業式。
 そして私、片倉メイコの試合が終わる日。終わるはずだった日。
 でも、試合終了にはならなかったみたい。

 私はまだ、――生きている。

 「中学校は卒業できるか分からない」と医者に言われて生きてきた。覚悟もちゃんとしていた。
 だから、これから先は、ロスタイム。
 
 この気まぐれな時間を喜んでいいんのかなは、微妙なところ。
 
 だって、残された時間がどれくらいあるのかは分からない。試合終了の笛はきっと気まぐれ。
 これからの私の人生をサッカーで解説すれば、5対0で始まるロスタイム。
 
 もちろん、負けチーム。
 
 これからどんなに頑張っても逆転はない。後は最後の笛が吹かれるのを待つだけ。
 当然、最後の一秒まで足掻いたりなんか私は絶対にしない。
 
 だってみっともないじゃない? 黙って静かに終わりを待つんだ。
 
 夏の甲子園で、誰が見ても絶対にアウトなのに一塁ベースまで必死に走りこんでいく坊主頭たちは、美しいものなの?
 
 最後まであきらめないで、みんな良く頑張ったなんて褒めるけど、私はそんなのは嫌だ。

 だから、誰も私に頑張れなんて言わないでよね。

年の差 日常 青春 ラブコメ 学園 野球 サッカー 恋愛
全6話[16,745文字]
各話平均2,791文字
[推定読了0時間34分]
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最新作投稿:2019年04月26日(10:18:29)
 投稿開始:2019年04月26日(10:16:12)


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