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N6900KJ 26pt
短編.

出所後

雉白書屋

全1話[1,893文字] 空想科学〔SF〕
「『もう戻ってくるなよ』か……。けっ、他人事だから言えんだよ」

 そう悪態をついた男。雑草がちらほらと生えている砂利道に唾を吐き捨て、肩を怒らせながら歩いていた。刑務所を出たばかりのその体には自由の風が妙にこそばゆく、不快だった。

「今からまともな人生なんて送れるわけねえだろうが。また何かやってやらあ……」

 そう息巻きながら、転がっていた石を蹴り飛ばす。土埃が舞い、靴とズボンの裾にかかった。石は横へ逸れ、道の脇に生い茂る青々とした雑草の中へ消えていった。郊外の一本道。まだ街まで遠い。男はあくびをし、伸びをした。
 そのとき、黒塗りの車が静かに横に滑り込み、ぴたりと停まった。
 運転席の窓が下がり、中からスーツ姿の男が顔を覗かせた。

全1話[1,893文字]
各話平均1,893文字
[推定読了0時間4分]
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最新作投稿:2025年04月30日(11:00:00)
 投稿開始:2025年04月30日(11:00:00)

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