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短編.

女は度胸! レノアの場合

ねこまんまときみどりのことり

全1話[18,099文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕
 「もう我慢できない! あんたなんて、出ておいき!」

 「なんだい、なんだい。後から入ってきた女が、息巻いてみっともないよ。ちょっとは我慢も覚えな」

 「出てけー!!!」


あらら、追い出されちまったよ。

わたしの母さんが死んで、すぐ家に入って来た女、モアールの性格が悪いのなんの。顔は可愛いし声も高いけれど、化粧はケバいし香水付けすぎだ。くしゃみが出るよ。
まあ女らしい体つきは、大抵の男が喜びそうだけどね。

父さんが居ない間に出かけては、服やら宝石やらを買ってくるし、時々一緒に連れてきた従者? とよろしくやってるし酷いんだよ。

まあそれなら、100歩譲ってギリギリ我慢もできる(父さんの目利きが失敗しただけだ)が、使用人に手を出されたら無理さね。だから言ってやったんだよ。
ちょっとは我慢しなと。
ここは、お貴族様の屋敷じゃないんだよと。

そう言ったら、キレやがったんだよ。
ずいぶんと辛抱が足りないよ、大人なのに。


父さんが貿易に行っていない間に追い出されたわたしは、ここの商家の娘でレノアさ。まだまだピチピチの5才だ。

使用人達が慌ててついて来ようとしたが、悪いけども戻って貰ったんだ。だって今のわたしには金がないからね。給金が出せないんだよ。

みんな家族がいて、生活しなきゃならないしね。
と言うことで、一人で家を出たのさ。



キレるとどこかの喧嘩師のように、何かが乗り移ったように口汚く叫ぶレノア。その時のことをレノアは、よく覚えていない。ただ猛烈に怒ったと言う以外は。

◇◇◇

「うーっ、うーっ」
テクテク歩いて行くと、森の入り口で大きな灰色の犬が苦しげに唸って踞っているから、手持ちの薬を振りかけたんだよ。

そうしたら途端に元気になって、わたしの後をついてきた。
「わん、わんっ」
わたしの周りを元気にクルクルとまわっている。

「悪いけど、餌なんてないんだよ」
そう言うんだが、言葉の壁が邪魔をして通じない。
はーっ、はーっ言ってついてくる。

まあ、腹が減れば行っちまうだろう。
こうして1人と1匹旅が始まったんだ。


という感じで始まった、レノアの小さな冒険です。

ネトコン12 商人 愛人 男爵令嬢 子爵令嬢 伯爵 商人の娘 幼子 復讐 山賊 豊穣の女神の愛し子 白狼
全1話[18,099文字]
各話平均18,099文字
[推定読了0時間37分]
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評価人数:16人(平均3.4pt)

最新作投稿:2024年07月30日(21:58:26)
 投稿開始:2024年07月30日(21:58:26)

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