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一億人が、あの一家を愛していた~ある芸能一族の栄光と滅びの記録~
智珠
全3話[7,155文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕
かつて、一億人がその一家を愛していた。
大部屋役者から成り上がり、笑いも涙も思いのままにした栄(さかえ)家。茶の間のまん中には、いつも彼らがいた。
娘の徳子だけが、その輪の外にいた。撮影所の隅から、光の当たる場所をただ見て、覚えているだけの子どもだった。
やがて、一家は焼かれはじめる。
けれど、世間の言うことは、ほとんど正しかった。父はたしかに人を切ってきた。掘り起こされた過去も、本物だった。だから誰も、何ひとつ言い返せなかった。
誰も手を下していない。それなのに、一人ずつ消えていく。仕事が、居場所が、名前が。
徳子は、幼い娘だけは守ろうとする。国じゅうが「あの子を守れ」と叫ぶ、その声から。
これは、滅びていく一族を、たった一人が最後まで見届けた記録である。
ただし、書いているのは、その一家を愛しすぎた女だ。どこまでが本当で、どこからが願いなのか、書いた本人にも分からない。
――盛りは、必ず過ぎる。けれど、過ぎ去ったものを、たった一人が心にとどめるかぎり、それは「無」にはならない。
大部屋役者から成り上がり、笑いも涙も思いのままにした栄(さかえ)家。茶の間のまん中には、いつも彼らがいた。
娘の徳子だけが、その輪の外にいた。撮影所の隅から、光の当たる場所をただ見て、覚えているだけの子どもだった。
やがて、一家は焼かれはじめる。
けれど、世間の言うことは、ほとんど正しかった。父はたしかに人を切ってきた。掘り起こされた過去も、本物だった。だから誰も、何ひとつ言い返せなかった。
誰も手を下していない。それなのに、一人ずつ消えていく。仕事が、居場所が、名前が。
徳子は、幼い娘だけは守ろうとする。国じゅうが「あの子を守れ」と叫ぶ、その声から。
これは、滅びていく一族を、たった一人が最後まで見届けた記録である。
ただし、書いているのは、その一家を愛しすぎた女だ。どこまでが本当で、どこからが願いなのか、書いた本人にも分からない。
――盛りは、必ず過ぎる。けれど、過ぎ去ったものを、たった一人が心にとどめるかぎり、それは「無」にはならない。
集英社小説大賞7
コミックルーム大賞
ESN大賞11
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現代
ヒューマンドラマ
芸能界
家族
栄枯盛衰
弔い
平家物語
炎上
SNS
スキャンダル
悲劇
全3話[7,155文字]
(各話平均2,385文字)
[推定読了0時間15分]
お気に入り登録:0件
投稿開始:2026年07月24日(18:00:00)
(各話平均2,385文字)
[推定読了0時間15分]
お気に入り登録:0件
評価人数:0人(平均--pt)
最新作投稿:2026年07月25日(18:00:00)投稿開始:2026年07月24日(18:00:00)
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