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完結済

交換日記

永島大二朗

全67話[267,016文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕
【2022年 第3回 幻冬舎ルネッサンス 新人賞応募・落選作】
 互いに一目惚れと言うことはある。真治と香澄がそうだったように。しかし二人は、最初の一目その時に、言葉を交わすことも、笑顔を交わすこともできなかった。
 それから暫くして、二人は各々秘密を抱え、同じ中学の同じ部員になる。しかしそれでも、二人は会話をすることができない。香澄の想いを借りて語るならば「目をちらりと合わせて照れるのがやっと」である。
 そんな二人が、雨の帰り道で下校するところから物語は動き始める。気持ちを表に出せない香澄は、小学生の時から親友である真衣の力を借り、やっと真治と会話することにこぎ着ける。しかもそこで真衣に言い包められ、真治と香澄の二人は交換日記を付け始める。
 それは二人にとって、心を育むものであり、助けを乞うものであり、そして、愛を育むものとなるはずだった。そう。真実を書き続けていれば。
 うわべだけだったのか。いや、そうではない。素直な気持ちで書いたのか。それはそうだろう。しかし人には、まだ子供である二人にだって、どうしても秘密にして置きたいものがある。それだけは、交換日記に記すことができなかった。それだけだ。
 毎日を過ごす内、互いに一緒にいることが自然となる。真治からはっきりと「好き」と言われた香澄であるが、香澄はどうしても言えない。想いが叶って思わず叫んだ時でさえ、その「好き」の二文字が言葉にできない。一方の真治も、香澄の言葉や態度から、好かれているのはひしひしと感じる。しかし、その理由が判らずに怯える。
 遂に香澄が転校する段になって、お互いの気持ちを語り合うが、それは、もはや、話し合いではなかった。
 そんなことがあった少し後、屋上でいつものように会話する二人。そこでふとしたことから、香澄の中で絶対に、真治にだけはバレたくなかった秘密が明らかになる。自爆だった。その秘密は真治にとっても、絶対に香澄にはバレたくなかった秘密でもあったのだ。そして真治は、知らぬ間に自爆していたのだ。
 お互いの秘密を理解しあった二人は、二冊目の交換日記を始める。その内容はどんな内容だったのか。それは判らない。何故なら、二人は卒業式一週間前、真衣の一言により、学校を別々に飛び出してしまったから。

日常 青春 純愛 ピアノ トランペット 中学生
全67話[267,016文字]
各話平均3,985文字
[推定読了8時間55分]
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評価人数:1人(平均5pt)

最新作投稿:2022年12月04日(01:00:00)
 投稿開始:2022年09月18日(14:37:38)
 投稿期間:2ヶ月


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