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データ取得:2025/09/18未明

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短編

たまたまのカード

さんご

全1話[3,182文字] その他〔その他〕
金曜の夕方。
会社員のAさんは、飲み会を盛り上げようと一枚のジョークカードを仕込んでいた。
赤いハートに金文字で書かれた言葉――

「愛してるわ、あなた♥」
ありすより

ほんの軽い悪ノリのはずだった。
けれど駅の混雑で誰かとぶつかった拍子に、
そのカードは、まったく面識のないBさんの鞄へと舞い込んでしまう。

そのことに誰も気づかないまま、Bさんは帰宅。
そして――
奥さんが、そのカードを見つけてしまった。

「……誰からの“愛してる”なの?」

言い訳も証拠も通じない。
ただひとつの赤いカードが、夫婦の信頼に影を落とす。

翌朝も気まずい空気のまま。
言葉はすれ違い、互いの心に小さな刺を残す。

だが夜になって、奥さんはカードの裏に
「イベントグッズ会社」の名前を見つけ、真相を知る。

――誤解だった。でも、少し寂しかった。だから少しだけ、意地悪をした。

冗談のカードが引き起こした“静かな波紋”。
それは、あらためてお互いの気持ちを確かめる時間にもなった。

そして最後に、奥さんは新しいカードを手書きする。

「ほんとに愛してるのは、私だけにしてね♥」

ところで、この騒動――
いったい、誰が悪かったのだろう?

カードを仕込んだAさん?
気づかず持ち帰ったBさん?
すぐに信じられなかった奥さん?
それとも……こんなカードを作ったパーティ会社か?

すべてが「たまたま」だったこの物語。
でも――
「たまたま」こそが、日常を揺らす最もリアルな魔法なのかもしれない。

ギャグ 和風 現代 日常
全1話[3,182文字]
各話平均3,182文字
[推定読了0時間7分]
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最新作投稿:2025年07月13日(22:16:59)
 投稿開始:2025年07月13日(22:16:59)


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