データ取得:2026/03/28未明
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偽りの聖女を断罪するのは私――前世の記憶を武器に王宮の闇を静かに暴く
渚月(なづき)
全10話[27,835文字] 異世界〔恋愛〕 転移 転生五歳の冬、養父の膝の上で帳面の数字をなぞったのが最初の記憶だ。いや、正確には最初ではない。もっと前の記憶がある。蛍光灯の白い光、液晶画面に並ぶ数列、指先が叩くキーボードの感触。それが何なのか、幼い私にはわからなかった。
十五になった夜、唐突に理解した。あれは前の世界の記憶だ。
私はかつて、別の場所で、数字を扱う仕事をしていた。帳面の矛盾を見つけ、不正を暴き、報告書を書く。そういう人間だった。
養父が死んだのは、それから二年後のことだ。
王宮に花を納めていた養父は、ある日突然「横領」の罪を着せられた。弁明の機会もなく、全財産を没収され、失意のうちに病で逝った。
私は知っている。養父の帳面に嘘はなかった。数字の並びには癖が出る。養父の数字は、いつも真っ直ぐだった。
あの帳面を改竄したのは、王宮の誰かだ。
それから五年。私は下町で花を売りながら、静かに準備を続けてきた。前世の知識を整理し、この世界の商習慣を学び、王宮の取引記録を集められるだけ集めた。
そして今日、一通の手紙が届いた。
王宮会計院、臨時監査官補佐の採用通知。差出人の名は、会計院長トーマス。
花籠を下ろし、手紙を膝の上に置いた。指先が、かすかに震えている。
養父の無実を、証明する。王宮に巣食う嘘を、数字で暴く。
明日から、私の戦場が変わる。
(各話平均2,784文字)
[推定読了0時間56分]
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最新作投稿:2026年03月15日(12:21:04)投稿開始:2026年03月15日(12:19:42)
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