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N3990ML 114pt
完結済.

「お前の言葉などいらない」と妻を遠ざけた公爵——それきり、彼の詫びは誰の胸にも届かなくなった

歩人

全1話[9,181文字] 異世界〔恋愛〕
公爵アルトゥールは、人前では滑らかに詫び、祝い、人の心を掴む——そう思われていた。
けれど本当は、言葉の下手なこの男のために、妻アデーレが陰で全ての言葉を用意していた。
詫び状も、祝辞も、部下への労いも。彼女はそれを一度も、自分の手柄だと言わなかった。

ある夜、讒言が公爵の耳に入る。「奥方が旦那様の言葉を奪い、操っている」と。
疑心に呑まれた公爵は、妻に背を向けて言い放つ。「もう俺に言葉を与えるな。お前の言葉などいらない」
アデーレは、ただ一度だけ微笑んで、何も弁明せずに屋敷を去った。

その日から、公爵はうまく詫びられなくなった。祝いの席で言葉に詰まり、部下は離れ、
人の胸に届く一言が、どうしても紡げない。すべての言葉が、彼女のものだったと気づいたときには、もう遅い。
——彼女が最後に飲み込んだ一言を、公爵が自分の言葉で継ぎにいくまでの、静かな物語。

全1話[9,181文字]
各話平均9,181文字
[推定読了0時間19分]
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評価人数:14人(平均3.5pt)

最新作投稿:2026年07月10日(19:43:42)
 投稿開始:2026年07月10日(19:43:42)

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