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完結済.

海煙の審判

水前寺鯉太郎

全8話[12,286文字] 歴史〔文芸〕
「香りのいい上質な煙を燻らせながら、聞いてほしい。これは、静かな部屋で時間をかけて味わうにふさわしい、ある男の長い、長い復讐の記録だ。焦ってはいけない。火をつけたら、煙がゆっくりと部屋を満たすのを待つように、男の絶望が、いかにして最高のカタルシスへと熟成されていったのかを――」
 深い影が落ちる葉巻工場の片隅。レクトール(読書人)が紐解くのは、日の本の国が戦火に包まれていた戦国時代の、知られざる海洋ロマンである。その語りに耳を傾けるのは、一本の太い『モンテ・クリスト』を手にした、お忍びの最高権力者・大統領。
 物語の主人公、若き水軍の才子・鯉三郎は、輝かしい未来のすべてを手中に収めていた。次期船長の座、そして愛する婚約者。しかし、信頼していた親友・蔵人の冷酷な裏切りにより、彼は無実の罪を着せられ、絶海の孤島にそびえる監獄砦へと堕とされる。
 禁錮十五年。光の届かぬ地下独房で、鯉三郎は隣の牢に繋がれた「壁の向こうの怪物」――かつて世界の海を裏から操った伝説の巨商と出会う。壁を隔てた対話、看守の目を盗んだ修行。十五年の歳月は、鯉三郎を絶望の底から救い上げ、冷徹かつ至高の知略を備えた「復讐者」へと発酵させていく。
 師の遺体と入れ替わり、荒れ狂う冬の海へと脱獄を果たした男は、隠された莫大な南蛮の富を手にし、正体を隠した謎の巨商として再び世に現れる。その手元には、かつての裏切り者が喉から手が出るほど欲した、最新鋭の鉄甲船の設計図があった。
 かつての友が、いまや一国の水軍大名として君臨する港。そこに静かに現れた鯉三郎の復讐の煙は、ゆっくりと、しかし確実に仇の首を絞めていく。
 熟成を終えた男が下す、血よりも濃く、煙よりも切ない審判。
 大統領が吐き出した紫煙の向こうに、いま、戦国の海が鮮やかに浮かび上がる。

シリアス ダーク 男主人公 ハードボイルド 時代小説 AI補助使用
全8話[12,286文字]
各話平均1,536文字
[推定読了0時間25分]
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評価人数:2人(平均4.5pt)

最新作投稿:2026年03月29日(09:50:21)
 投稿開始:2026年03月28日(20:19:34)

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