データ取得:2024/05/03未明
おしらせ
▷新ツール『時間毎PVカウント保存ツール』是非登録お願いします。
N1386DD
48pt
完結済
完結済
セイリオスの逃亡
ナコイ トオル
全148話[316,434文字] 推理〔文芸〕 R15
元詐欺師の女がいる。元、だ。……じゃあ今は、誰なんだろう?
「ずっとずっと、歩いて来たんだ……そうしたら、わたしはわたしが今誰なのか、わからなくなった」
幼い顔をした彼女が、その深い深い黒い眼をふわりと上げた。
「わたしがわたしを捕まえる。―――そうしたら、この逃亡劇はきっと終わり」
どうかな。そう簡単に、君は捕まりそうにない気がするけど。
灰色の眼をした彼との時間が過ぎ、黒髪の青年と離れ海と空を越えた彼女は、心の底から疲弊したまま『逃亡』をはじめていた。
血の繋がらない弟、腹に一物抱えたカメラマンたち、送りようのない手紙を抱える学生、スランプのモデルに雨と霧の街の保安官。彼らの眼の前に、或いは誰かの心の先に、彼女は通りかかり、そして去って行く。
嘘と詐欺のあとに、残ったものの話をしようか。
大丈夫。怖がっていていい。
この手をしっかり握っていて。
これは君が逃げた跡であり、君がどんな風に世界を愛していたかという話なんだ。
大丈夫。これだけは言える
だからきっと覚えていて。お守りのように胸に刻んでいて
君はすべてを失くしたわけじゃないんだ
君がいる。君がいた。
―――その世界を、愛そう。
―――前作、『マクデブルクの半球』『アステリスクの邂逅』『セントエルモの光跡』の続編です。
どうぞ、前作を読まれてからお読みください。
「ずっとずっと、歩いて来たんだ……そうしたら、わたしはわたしが今誰なのか、わからなくなった」
幼い顔をした彼女が、その深い深い黒い眼をふわりと上げた。
「わたしがわたしを捕まえる。―――そうしたら、この逃亡劇はきっと終わり」
どうかな。そう簡単に、君は捕まりそうにない気がするけど。
灰色の眼をした彼との時間が過ぎ、黒髪の青年と離れ海と空を越えた彼女は、心の底から疲弊したまま『逃亡』をはじめていた。
血の繋がらない弟、腹に一物抱えたカメラマンたち、送りようのない手紙を抱える学生、スランプのモデルに雨と霧の街の保安官。彼らの眼の前に、或いは誰かの心の先に、彼女は通りかかり、そして去って行く。
嘘と詐欺のあとに、残ったものの話をしようか。
大丈夫。怖がっていていい。
この手をしっかり握っていて。
これは君が逃げた跡であり、君がどんな風に世界を愛していたかという話なんだ。
大丈夫。これだけは言える
だからきっと覚えていて。お守りのように胸に刻んでいて
君はすべてを失くしたわけじゃないんだ
君がいる。君がいた。
―――その世界を、愛そう。
―――前作、『マクデブルクの半球』『アステリスクの邂逅』『セントエルモの光跡』の続編です。
どうぞ、前作を読まれてからお読みください。
R15
ミステリー
全148話[316,434文字]
(各話平均2,138文字)
[推定読了10時間33分]
お気に入り登録:8件
投稿開始:2016年02月13日(00:15:30)
投稿期間:1年
(各話平均2,138文字)
[推定読了10時間33分]
お気に入り登録:8件
評価人数:4人(平均4pt)
最新作投稿:2017年02月23日(01:00:00)投稿開始:2016年02月13日(00:15:30)
投稿期間:1年