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データ取得:2025/06/14未明

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N1052KN 16pt
短編

地獄のカウンセリング

雉白書屋

全1話[3,154文字] その他〔その他〕
 ある日の夕方、精神科医の男はパソコンの画面から顔を上げ、椅子からそっと腰を浮かせた。
 音が聞こえたような気がしたのだ。不審に思い、耳を澄ます。おかしい、診療時間はとっくに終わっているし、最後に戸締りも確認したはずだが……。
 男がドアに目を向けた瞬間――ゆっくりと開き始めた。
 驚き、体が硬直する。そのまま目を凝らし見つめていると、そこから現れたのは――

「え、鬼……?」

 凝り固まった血のように暗く濃い赤の肌。小便を思わせる濁った黄色い目。汚泥のような茶色い腰布をまとい、身の丈四メートルはあろうかという巨体。そしてその頂点には、鋭くそびえ立つ二本の角。まぎれもなく、鬼である。
 しかし、もちろんそんな存在を認められるはずがなく、男は絶望した。とうとう、自分がいかれてしまったのだ、と。
 鬼は静かに腰を落とし、その巨体をぐっと屈めて男と目線を合わせると、意外にも穏やかな声で言った。

「どうも、突然の訪問失礼します。私、地獄から参りました」

全1話[3,154文字]
各話平均3,154文字
[推定読了0時間7分]
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最新作投稿:2025年05月27日(11:00:00)
 投稿開始:2025年05月27日(11:00:00)


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