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風のように~第三土曜日の覇王篇~

湊カズサ

全20話[32,025文字] ヒューマンドラマ〔文芸〕

 都内主要道路は、幾多の車で長い列を成し、赤いストップランプの帯を作っていた。煌々と灯るイルミネーション、店舗から響き渡るBGM。雑踏は駅から吐き出された人々で混雑している。家族連れ、楽しげなカップル、帰途を急ぐサラリーマン。幾多の思いがそこにはある。ビルに遮られて風は皆無。むせるようなアスファルトの匂いだけが鼻に突く。

 そこに対向車線を逆走して、五台のバイクが現れる。羽織るのは黒い特攻服。
 嘶くようなタイヤの軋む音がなり始めた。アクセルは全開、フルスロットルでバイクが始動する。夜空にこだまする爆音、仲間達も次々にその後を追う。
 それはまるで映画のワンシーン。不意に脇腹を突かれた主要道路は大混乱に陥る。響くクラクション。白煙を挙げてブレーキ音が耳をつんざく。中には制御出来ず、車同士でぶつかるものもいる。
 対する族達は華麗なハンドル捌き。きっちりと車体を制御して、相手に擦ることもない。それにより主要道路のスピードは徐々にゆっくりなものとなっていく。まるで危険な獣を飼い慣らす調教師のようだ。遂には左右の交差点を封鎖して、道路を真っ二つに分断してしまった。

 気づけば街はその黒い集団に埋め尽くされていた。悠然と対向車線を疾駆する者、縫うように本線を練り歩くもの。歩道に飛び出して人々を避けるように往く者もある。乱反射するヘッドライトの眩しい輝き、鼓舞するようになり続くエキゾーストの音。その様はまるで天に飛翔する巨体な龍の如く。

彼らの目的は単純なものだ。その先に信頼する友がいるから。全てを捨てても守るべき者があるから。

舞台は昭和。激しくもどこか懐かしい青春ストーリー

青春 ヒーロー ヤンキー 昭和 胸キュン男子 暴走族
全20話[32,025文字]
各話平均1,601文字
[推定読了1時間5分]
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最新作投稿:2021年07月24日(12:58:23)
 投稿開始:2021年07月14日(22:26:04)


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